2017年2月10日金曜日

少子化対策の本質と限界

少子化対策といわれる結婚・出産促進策で、人口容量の限界で作動した人口抑制装置を覆すことができるのでしょうか

人口抑制装置とは、幾度も述べてきたように、あらゆる生物に生得的に組み込まれた個体数調整のしくみです。

キャリング・キャパシティー(生存容量)が満杯に近づくにつれて、その範囲内に収まるように、さまざまな種はそれぞれの数を抑え込んでいきます。

もし個体数が容量を超えてしまえば、やがて大量死をもたらすことになりますから、予めそれを抑えようとするのは、危機的状況を避けるための、生得的な“知恵”ともいえるでしょう。

つまり、個体数抑制装置とは、一定容量下に生息する生物集団にとって、破滅的打撃を避けるための遺伝的なしくみなのです。


人間の場合も、こうした装置は当然、生理的次元に組み込まれていますが、さらに文化的(人為的)次元でも作動しています。要するに、人間では生理的抑制と文化的抑制の二重の装置が働いているのです。

この人口抑制装置には、すでに【
人為的抑制装置には3つの次元がある!】で述べたように、出産や転入などを抑える増加抑制装置と、死亡や転出などを促す減少促進装置の両面があります。

一方、昨今喧伝されている少子化対策は、この増加抑制装置の作動を抑えようとするものです

人口減少は社会的混乱を招くおそれがあるから、これまで続いてきた社会構造をなんとか維持するために、人口を保持・増加しようとするものです。

極論すれば、現代の日本人が長期的・無意識的次元で選んでいる人口増加抑制行動を、短期的・意識的(意図的)な次元でひっくり返そうとする人口再増加行動ともいえるでしょう。

それゆえに、少子化対策はほとんど効果を上げられません。




図に示したように、そのほとんど全ては間接的抑制装置の作動に向けられており、それがもし成功したとしても、その効果が限られたものなのです。

というより、近視眼的・部分的視点で立案された対応策では、ほとんど効果は上げられないともいえるでしょう。

人口抑制装置の作動とは、それほど単純に抑えられるものではないのです




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