2015年9月7日月曜日

工業文明の次を読む!

石器文明、農業文明、工業文明という区分を「大文明」、旧石器文明、新石器文明、粗放農業文明、集約農業文明、粗放工業文明という区分を「細文明」と名づけますと、大文明とは2つずつペアになった細文明が共通して基盤にしている文明ということになります。

このブログでは、文明という言葉を「言語能力を発展させて、抽象化能力を持つ人類が、周囲の自然環境に新たに働きかけて、人口容量を拡大したり、より大きな人口容量を作りだす働きかけ」という、限定した意味で使っています。

この定義を最大限に拡大して、人間の生息環境全体に適用してみますと、文明とは「人類が生きていくためのエネルギー獲得法」ということになります。つまり、地球上に降り注ぐ、膨大な宇宙エネルギーをいかにして獲得し、人類が生きていくための生命エネルギーにどのような形で変換しているか、ということです。

アメリカの著作家John Geverらが、人口容量とは「人間が利用可能なエネルギー量およびそのエネルギーがどのように用いられているかを調査すること」に尽きる、といっているとおりです(Beyond Oil)。

これこそ「大文明」とよべる次元であり、人類の文明史の最も基盤にある石器文明、農業文明、工業文明をさしていますが、それぞれの特性は次のように整理できます。

石器文明とは「太陽エネルギーが短期的に蓄積された動植物を石器によって採集し消費する」もの。さまざまな動植物の体内に蓄積された太陽エネルギーを、石器を開発して人間の暮らしに利用することで、人間用エネルギーへと変換しています。

農業文明とは「太陽エネルギーが短期的に蓄積された動植物を育成して消費する」もの。地上に降り注ぐ太陽エネルギーを、農耕や牧畜によって意図的にさまざまな動植物の体内に蓄積させ、そのうえで人間のエネルギーに変換しています。

工業文明とは「太陽エネルギーなどが長期的に蓄積された化石燃料などを採集して消費する」もの。地球の内部に蓄積された太陽エネルギーや宇宙エネルギーを、科学技術によって発掘し高度に利用することで、人間向けのエネルギーに変換しています。

これらの延長線上で、より大胆に考えれば、工業文明の次にくる文明が予想できます。

仮にそれを「未来文明」と名づけると、その中身は多分、過去のエネルギー蓄積を単に発掘して消費するだけでなく、人間の知恵や知識を応用して、太陽のエネルギーやその背後にある宇宙エネルギーまでも巧みに蓄積したり、効率的に増幅する文明になっていくでしょう。

なぜなら、石器文明から農業文明への移行が、短期蓄積エネルギーの「採集・消費」から「育成・消費」への転換に裏付けられていたように、工業文明から未来文明への移行もまた、長期蓄積エネルギーの「採集・消費」から「育成・消費」への転換によって、初めて開始されるのではないか、と思うからです。

















つまり、未来文明は「太陽エネルギーや宇宙エネルギーを育成して消費する」文明です。

こうした未来文明へ向かって、私たち人間が集約工業文明の段階をとばして、一気に駆け上るという可能性もないわけではありません。だが、そうなるにはまだまだ課題が山積しています。

第1に、現代の工業文明はなお未熟な段階にあり、さらに進展する余地があります。

第2に、現在の工業文明に代わるよう未来文明を創造するには、世界的な次元かなりの時間が必要です。

第3に、次の未来文明を生み出すには、現代の工業文明から〝橋渡し〟の役割をする、もう一段高い次元の工業文明が必要です。

とすれば、私たちはおそらく、まずは集約工業文明を創造し、それを基盤にして、その次の未来文明へと向かっていくことになるでしょう。

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