2015年2月2日月曜日

動物の個体数はロジスティック曲線をたどる?

キャリング・キャパシティーの下で、動物の個体数が変化していくプロセスを、統計学ではロジスティック曲線(ロジスティック方程式)でとらえています。

この曲線は、1838年にベルギーのピエール=フランソワ・フェルフルスト(Pierre-François Verhulst)が、人口増加を説明するモデルとして考案したものです。

ロジスティック(logistic)とは、軍事用語の「兵站」、つまり「食糧などの必需品を確保する」ことですが、この意味を広げて、生物の個体数は、彼らが生きていくうえで必要な生活物資に依存していることを示しています。

ロジスティック曲線は、次の微分方程式で示されます。

この式で、Pは個体数、tは時間、Qは環境収容力(Carrying Capacity)、つまり、その環境における個体数の最大値です。rは個体数自然増加率で、その生物が実現する可能性のある、最大の増加率です。実際の増加率r(Q - P )/Q は個体数P が環境収容力Q に近づくにつれて減少し、P = Q なら増加率は 0となります。P > Qの場合は増加率が負となり、個体数がQ になるまで減少していきます。


このため、個体群の増加につれて、次第に増加率へブレーキがかります。生態学でいう「密度効果」という現象ですが、個体が一つ増加することで増加率が減少する率をtとすると、r=tQ となり、t = r /Qとなります。これを上の式に代入すると、次式になります。

この式で、Pは個体数、rは個体数自然増加率、tは1個体の増加による増殖率の低下率です。つまり、本来の増殖率rに対して、個体数がPの時にはtPの分だけブレーキがかかるということです。


ロジスティック曲線は、次のようなグラフで理解されており、さまざまな動物の個体数は、この曲線にほぼ従っていることが、個体群生態学の実験により報告されています。



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