2015年1月14日水曜日

出生数を増やせるか?

人口を増やす第2の方法は、出生数の増加対策です。出生数が減るのは、直接的には、晩婚や非婚を選ぶ人たちや、結婚しても子どもを作らない夫婦が増えているからです。出産適齢期にあたる世代では、結婚したり子どもを作ることより、自分の好みの生き方や暮らしを優先するという選択が増えているからだ、ともいえるでしょう。

そこで、出生数を上げるには、①出産適齢期(15~49歳)の女性人口(再生産年齢人口)を増やす、②結婚や同棲など彼女たちの有配偶率を上げる、③配偶者のいるカップルの出生率(有配偶出生率)を上げる、といった方策が必要になります。

このうち、① 出産適齢期の女性人口については、図に示したように、1970年の2980万人から90年の3140万人までは増えていましたが、そのあたりがピークで2000年には2930万人に減りました。今後は、2020年2436万人、2030年の2054万人、2040年1794万人、2050年1567万人と、急速に減っていきます。2010年を100として、2020年90%、2030年76%、2040年66%、2050年58%にまで落ちていきます。ベビーブーマー世代の女性たちが、すでに出産適齢期を卒業したのですから、もはやどうすることもできません。

そこで2番目に②有配偶率の向上をめざして、適齢者を「晩婚化・非婚化」から「早婚化・全婚化」へと促す対策が必要になります。だが、結婚や同棲はあくまでも個人の意思決定に関わることですから、強制的な介入はほとんど不可能でしょう。

となると、最も期待できるのは③出生率の改善、つまり結婚や同棲しているカップルにできるだけ多く子どもを生んでもらおう、ということになります。出生率と書くと、必ず誤解されますから一言お断りしておきますが、ここでいう出生率は「有配偶出生率」のことで、一般に多用されている「合計特殊出生率」ではありません。

マスメディアなどでは「出生数を増やすには、合計特殊出生率を上げればいい」などと安易に書いていますが、これは間違いです。合計特殊出生率とは「出産適齢期の女性の出生率を年齢毎に算出し、それぞれの出生率を足し合わせた数値」であり、「1人の女性が一生の間に産む子どもの数の平均数」を示しています。それゆえ、合計特殊出生率には、先にあげた②と③の両方が概ね反映されていますが、①はまったく考慮されていません。ということは、例え合計特殊出生率が上がっても、出産適齢期の女性人口が大幅に減れば、出生数が増えることはありえないのです。

では、有配偶出生率を上げることができるのでしょうか。(続く)



0 件のコメント:

コメントを投稿